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知的財産関連ブログ / 知的財産法(知的財産基本法)とは?定義・具体例・リスク・取得手順をわかりやすく紹介

知的財産法(知的財産基本法)とは?定義・具体例・リスク・取得手順をわかりやすく紹介

知的財産基本法(以下、知的財産法)は、アイデアや創作物を保護するための重要な法律です。



  1. 「具体的にどのような法律なのか」
  2. 「どうやって取得するのか」
  3. 「侵害すると個人や企業にどのようなリスクがあるのか」

知的財産法について、このような悩みや疑問がある方もいるでしょう。

本記事では、知的財産管理システムを提供する「デンネマイヤー」が、知的財産法の定義や具体例、侵害するリスクなど、基本情報をわかりやすく紹介します。

また、取得手順や更新に役立つツールなど、実務で役立つ内容も解説します。

知的財産法の基本を包括的に理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

知的財産法とは

知的財産法とは、さまざまな知的財産を保護するための法律群の総称です。

民法や労働基準法とは異なり、単一の法律ではないことがポイントです。

例えば、発明を守るための特許法やブランド名を保護するための商標法を含みます。

個別の法律が、それぞれ異なる種類の知的財産を保護するために機能しています。

特徴

知的財産法に含まれる法律には、いくつか共通する特徴があります。

主な特徴は、以下のとおりです。

  1. 無体物性:保護の対象は物ではなく、発明やデザイン、ブランド名などの形のないアイデアや創作物
  2. 排他的独占性:権利者は一定期間、他人に無断で利用されないように独占的に使用・実施できます。
  3. 時間的な制限:権利は永久に続くわけではなく、特許権であれば20年など法律で定められた存続期間が存在
  4. 属地主義の原則:権利は登録や取得をした国や地域のみが効力を持ち、国際的に自動で保護されるわけではない

それぞれを理解することで、知的財産の活用範囲やリスクを正しく把握できます。

主な目的

知的財産法の目的は、大きく以下の3つです。

  1. 創作者や企業の利益を保護
  2. 公正な競争環境を維持
  3. 産業や文化の発展を促進

知的財産法は、発明やデザイン、商標などを独占的に活用できる権利を与えることで、不正利用や模倣から守り、正当な利益を確保します。

また、他人のアイデアを無断で利用する行為を防止し、健全な競争環境を維持することで市場の秩序を保つことも目的のひとつです。

さらに、新しい技術や表現を保護することで、研究開発や創作活動への意欲を高め、社会全体の発展を後押しする目的もあります。

知的財産権の具体例

本章では、知的財産権の具体例を紹介します。

特許権:技術・アイデアなどの発明を保護する権利

特許権は、新しい技術的アイデアや発明を独占的に利用できる権利です。

製品の構造や製造方法、ソフトウェアのアルゴリズムなど、技術的に新規性・進歩性・産業上の利用可能性を満たす発明が対象です。

具体的に、企業においては以下のように活用できます。

  1. 製造業:新素材や製造プロセスを特許化し、競合他社の模倣を防止
  2. IT業界:AIアルゴリズムやセキュリティ技術を特許取得し、自社サービスの独自性を確保
  3. バイオ・医薬品:新薬や遺伝子解析技術を特許で保護し、研究開発投資を回収

例えば、トヨタ自動車はハイブリッドエンジン技術を特許化することで、競合他社との差別化を図り、世界的なエコカー市場をリードしてきました。

特許権によって、発明者が自らの発明を独占的に使用できる期間を保証することで、発明へのインセンティブを与え、さらなる技術革新を促します。

項目詳細
要件新規性・進歩性・産業上の利用可能性・公益性を満たすこと
保護期間出願日から原則20年
効力他者による製造・販売・使用を独占的に排除

参照:特許庁「 特許制度の目的 」

意匠権:デザインを保護する権利

意匠権は、製品の外観デザインを保護する権利です。

意匠権が指すデザインとは、形状・模様・色彩、またはこれらの組み合わせによって生み出される視覚的な美感を指します。

つまり、機能そのものではなく、見た目に価値を与え、独自性を守るのが意匠権の目的です。

企業においては、以下のような活用が挙げられます。

  1. 製造業:家具や家電製品のデザインを意匠登録し、模倣品の流通を防止
  2. ファッション業界:衣服やアクセサリーの独自デザインを保護し、ブランド価値を維持
  3. IT・電子機器:スマートフォンの筐体やUIデザインを意匠として登録し、差別化要素を確保

例えば、Apple社はスマートフォンの外観やUIデザインを積極的に意匠登録することで、ブランドの独自性を強化してきました。

意匠権は単なるデザインの保護にとどまらず、模倣品の流通防止やブランド力の向上にも役立ちます。

美的価値が市場競争力を左右する現代において、意匠権の取得は競争優位を確立するうえで欠かせません。

項目 詳細
要件 新規性・創作性の容易性がない・工業的利用性などを満たすこと
保護期間 登録日から最長25年
効力 他者による模倣品の製造・販売・使用を独占的に排除

参照:特許庁「 意匠制度の概要 」

商標権:名前やロゴを保護する権利

商標権は、商品やサービスを識別するための名前・ロゴ・マーク・スローガンなどを独占的に使用できる権利です。

企業では、以下のような活用が挙げられます。

  1. 飲食業界:店舗名やブランドロゴを商標登録し、他店による模倣を防止
  2. IT業界:アプリ名やサービス名を商標登録し、独自性や信頼性を確立
  3. 製造業:商品ブランドやシリーズ名を商標登録し、継続的にブランド価値を保護

実際に、コカ・コーラ社はCoca-Colaのボトルの形状を商標登録し、競合他社が類似デザインを使用することを防いでいます。

商標権は、特定の商品やサービスを他社と区別し、ブランドの信頼と認知度を守るうえで重要な権利です。

項目詳細
要件独自性・識別力を持ち、他人の商標と混同しないこと
保護期間登録日から原則10年
効力他者による類似名称・ロゴの使用を独占的に排除

参照:特許庁「 商標制度の概要 」

著作権:創作物を保護する権利

著作権は、文学・音楽・美術・映画・ソフトウェアなど、人間の創作的表現を保護するための権利です。

保護対象は、アイデアそのものではなく、表現されたものです。

創作と同時に自動的に発生し、登録の有無にかかわらず権利が認められます。

企業における主な活用シーンは、以下のとおりです。

  1. 出版・メディア業界:小説、記事、映像作品を著作権で保護し、無断転載を防止
  2. IT業界:ソフトウェアやWebサイトのソースコードを著作権で守り、不正コピーを防止
  3. 広告・デザイン業界:ポスターやイラスト、映像コンテンツの独自性を確保し、ブランド価値を維持

例えば、企業が制作した広告映像やキャッチコピーは著作権の対象となり、他社が無断で利用した場合は著作権侵害に該当します。

著作権は、創作者の利益を守るだけでなく、企業が安心してコンテンツ制作や研究開発に投資できる環境を整えるうえで重要です。

項目詳細
要件創作的に表現された著作物であること
保護期間原則として著作者の死後70年
効力無断での複製・翻案・公衆送信などを独占的に排除

参照:公的社団法人著作権情報センター「 著作権って何?(はじめての著作権講座 ) 」

実用新案権:形状や構造など物品の考案を保護する権利

実用新案権は、物品の形状・構造・組み合わせに関する考案を保護する権利です。

特許で必要な高度な技術的進歩が不要で、より身近で実用的なアイデアを短期間で保護できるのが特徴です。

企業では以下のように活用できます。

  1. 製造業:工具や部品の改良、日用品の使いやすさを向上させる工夫の権利化
  2. 文具・日用品メーカー:ペンのグリップ形状や収納用品の工夫を保護し、類似品対策に活用
  3. スタートアップ企業:特許取得が難しい小規模な技術改善をスピーディに権利化

例えば、コクヨはファイルやノートの綴じ具構造を実用新案として多数登録し、文房具市場での独自性を確保してきました。

実用新案権は、小さな改良や工夫を迅速に保護し、企業の開発意欲を後押しする仕組みです。特許のような高度な発明でなくても、実用的なアイデアを積極的にビジネスに活かせる点で重要な制度といえます。

項目詳細
要件考案の単一性や物品の形状、構造または組合せに係る考案など、基礎的要件を満たすこと
保護期間出願日から10年
効力他者による模倣品の製造・販売・使用を独占的に排除

参照:特許庁「 第1章 実用新案登録の基礎的要件 」

主要権利以外の知的財産権

先述した特許権・意匠権・商標権・著作権・実用新案権以外にも、産業や事業活動を守るための知的財産権があります。

主要権利以外の権利は特定の分野に特化しており、研究開発や事業活動の多様化に伴い近年重要性が高まっています。

主要権利以外の代表的な知的財産権は、以下のとおりです。

権利・法律保護対象特徴・目的
育成者権新しく育成された植物の新品種品種改良を促進し、農業・園芸の発展に貢献
回路配置権半導体集積回路の配置デザイン模倣防止により半導体産業の競争力を維持
不正競争防止法営業秘密、商品形態、著名な表示など不正利用を規制し、公正な競争を確保

各制度を組み合わせて活用することで、技術・デザイン・ブランド・情報資産を総合的に守れます。

知的財産権を侵害するリスク

他者の知的財産権を侵害した場合、さまざまなリスクを負います。

本章では、知的財産権を侵害するリスクを紹介します。

損害賠償請求

知的財産権を侵害した場合、権利者から損害賠償請求を受けるリスクがあります。

侵害によって権利者が被った売上減少や利益喪失、または不正に得られた利益などを基準に、損害額が算定されます。

特に企業間の争いでは、請求額が数億円規模にのぼることも珍しくありません。

ソフトウェアの無断利用やデザイン・ロゴの模倣は、損害賠償だけでなく販売差止めや回収費用などの負担を招く可能性もあります。

そのため、知的財産権の侵害防止は企業リスクマネジメントの一環として欠かせません。

罰金刑

知的財産権の侵害は、場合によっては刑事罰の対象となり、罰金刑が科されることもあります。

個人による著作権侵害では10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、法人に対しては両罰規定により行為者だけでなく法人も処罰されます。

罰金刑が課されると、企業は経済的損失だけでなく、コンプライアンス違反企業として顧客からの信頼を失うリスクも高まるため、注意が必要です。

参考: 民事上の請求、刑事上の罰則 |公益社団法人著作権情報センター

信用失墜・ブランドイメージの低下

知的財産権を侵害した企業は、単なる金銭的な損失にとどまらず、社会的信用の失墜やブランドイメージの低下などのリスクを負います。

消費者や取引先から「模倣を行う企業」などのネガティブな印象を持たれると、顧客離れや新規取引停止を招きかねません。

企業の信頼は一度失うと回復に多大な時間とコストがかかるため、知的財産権侵害を未然に防ぐことが重要です。

国際的な取引トラブル

知的財産権の侵害は、国際的な取引においてトラブルを引き起こすリスクがあります。

各国で知的財産に関する法律や保護制度は異なるため、自国では問題ない行為が、海外では権利侵害と見なされるケースも少なくありません。

特にグローバル企業において知的財産権の国際的な保護は、円滑な取引とブランドの継続的な成長を守るために重要です。

知的財産権の基本的な取得手順

本章では、知的財産権の基本的な取得手順を紹介します。

1.発明・デザイン・ブランドなどの創作

知的財産権取得の第一歩は、以下のような保護対象となる創作を生み出すことです。

  1. 特許権・実用新案権:新しい技術や製品構造などの発明・考案
  2. 意匠権:商品の形状・模様・色彩などのデザイン
  3. 商標権:サービス名・商品名・ロゴ・スローガン
  4. 著作権:ソフトウェア、文章、音楽、映像などの創作物

研究開発部門やデザイン部門、マーケティング部門を中心に、新しい価値を持つ製品やブランドを創出しましょう。

2.先行技術や類似登録などの調査

創作が完成したあとは、すでに同様の権利が存在しないかを確認する調査が必要です。

知的財産法では新規性や独自性が求められるため、以下のようにすでに登録されている技術・デザイン・商標との重複を事前に確認しましょう。

  1. 特許・実用新案:特許庁の公開特許公報や専門データベースを利用し、同じ技術が出願・登録されていないかを調査
  2. 意匠:すでに登録されたデザインとの類似性を比較し、差別化できるかを確認
  3. 商標:同一または類似の商標が同一分野で登録されていないかを商標検索で確認
  4. 著作権:既存作品の模倣ではないかを社内チェック

調査を怠ると、出願を拒絶される場合や登録後に第三者から権利侵害で訴えられる場合があります。

そのため、弁理士や専門調査機関を活用し、早い段階でリスクを洗い出すことで、出願の可否や修正方針を検討することが大切です。

3.各管轄機関に図面や出願書類の提出

先行調査を終え、出願の可能性が確認できたあとは、各管轄機関に対して正式な出願を行います。出願の際は、以下のように権利の種類に応じて必要な書類や図面を整え、法的に有効な形式で提出する必要があります。

  1. 特許・実用新案:特許庁に明細書や請求項、必要な図面を提出
  2. 意匠:デザインの形状・模様・色彩を示す図面や写真を添付して出願
  3. 商標:文字やロゴマーク、スローガンなどを示した書面を商標出願書とともに提出
  4. 著作権:創作と同時に権利が発生するため出願不要だが、著作権登録制度を利用することで権利関係を証明すると効果的

提出された出願は、書類の形式審査や内容の審査を経て登録可否が判断されます。

特に、特許や意匠では図面の正確性が権利範囲を左右するため、専門知識を持つ弁理士に依頼するのが一般的です。

4.専門審査官による審査・登録

出願された書類は、特許庁などの専門審査官によって厳格に審査されます。各権利における審査の内容は、以下のとおりです。

  1. 特許・実用新案:新規性や進歩性、産業上の利用可能性があるか
  2. 意匠:デザインに独自性や創作性が認められるか
  3. 商標:識別力があるか、既存の商標と混同しないか

審査を通過すると、正式に登録され、法的に効力を持つ知的財産権が発生します。

ここで初めて、他者に対して独占的に使用を主張することや、侵害の差し止めが可能になります。

5.権利の維持・更新

知的財産権は、登録された時点で終わりではなく、維持・更新が欠かせません。

権利を継続させるためには、以下のように定期的に所定の費用を納付し、更新手続きを行う必要があります。

  1. 特許権・実用新案権:出願日を基準とした一定年数を上限に、年ごとの維持費を納付
  2. 意匠権:所定期間ごとに更新料を支払うことで存続
  3. 商標権:登録から10年ごとに更新可能で、更新を続ければ半永久的に権利を保持できる
  4. 著作権:原則として自動的に存続するため更新手続きは不要

維持・更新を怠ると権利が消滅し、他者に自由に利用される可能性が懸念されます。

そのため、デンネマイヤーの知的財産管理サービスのような、更新期限や費用を一元的に管理できる知財管理ツールの活用がおすすめです。

ツールでは更新期限のリマインダー機能などが利用できるため、更新漏れのリスクを防ぎつつ効率的に知財を維持できます。

知的財産権の更新は「デンネマイヤー」の知的財産管理サービスがおすすめ

出典: デンネマイヤー

知的財産権は、登録後も維持・更新手続きが欠かせません。

しかし、更新期限の管理や各国で異なる制度への対応が必要で、企業にとって大きな負担です。

知的財産権の管理負担を解決するのが、60年以上の実績を持つデンネマイヤーの知的財産管理サービスです。

当社サービスは、以下のような強みがあります。

  1. 透明性の高い一律のコスト:費用内訳をいつでも確認でき、予算管理が容易
  2. さまざまな分野での対応力:特許・意匠・商標を含む幅広いポートフォリオの一括管理
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  4. 専門的な知識とサポート:知財の専門家によるアドバイスで安心して依頼可能
  5. オンラインポータルで簡単管理:知財データを一元管理し、更新状況をリアルタイムに把握
  6. 迅速かつ安全なデータ転送:セキュリティ対策が施されたシステムで安全性の確保

知的財産管理サービスを利用することで、更新漏れのリスクを回避し、コストを抑えながら効率的に知的財産を維持できます。

特に海外展開を行う企業や、大規模な知財ポートフォリオを抱える企業にとっては最適です。

まとめ:知的財産法とは企業の継続的なイノベーションを推進する法律

知的財産法とは、特許権や意匠権、商標権などを通じて、企業が持つ発明・デザイン・ブランド・コンテンツなどの知的資産を保護するための法律です。適切な取得・維持・更新を行うことで、長期的な企業価値の向上につながります。

知的財産権の効率的な更新は、デンネマイヤーの知的財産管理サービスをご活用ください。

知財ポートフォリオの規模にかかわらず、知的財産の更新にシームレスに対応し、特許・意匠・商標・実用新案における年金納付を確実にサポートします。

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