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30 7月 20205 minutesIP outsourcingPatents

特許を取るには|申請方法・費用・流れなどを解説

特許を取るには何から始める?取得できる発明の基準(新規性・進歩性)から、申請の流れ(先行技術調査→出願→審査請求→審査対応→登録)、必要書類、期間、費用相場まで体系的に解説。電子出願や減免・補助金でコストを抑える方法、拒絶理由通知への対応ポイントもわかります。


特許を取るには|申請方法・費用・流れなどを解説

企業の新しい発明を、ただの思いつきで終わらせたくないのであれば、特許の取得が有効です。特許は自社の発明や技術を守るだけでなく、新たなライセンス収入としても活用できます。

しかし、特許を取るには取得できる発明の基準・申請方法・費用など、さまざまなルールを知る必要があります。それぞれのルールを把握していないと、特許の取得は困難です。

本記事では、特許取得の全体像を理解できるように、基本的な知識・具体的な申請方法・費用などを解説します。特許を取得する際の参考にしてください。

特許の取得について専門的なサポートが必要な場合は、デンネマイヤーにお問い合わせください。
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特許とは?特許制度の基本

特許制度とは、新しい「発明」を保護するための国の制度です。

具体的には、発明をした人(発明者)に対して、その発明を一定期間、独占的に使用できる権利(特許権)を与える仕組みです。その代わりとして、発明者はその技術内容を社会に公開することが求められます。

これにより、他の人はその公開された技術を参考に、さらなる新しい技術を生み出すことができ、産業全体が発展していくことを目的としています。

なお、特許を取得できる発明と、できない発明がある点には注意が必要です。

参照:【特許制度の概要】発明と特許|特許庁

特許を取得できる発明

特許法では、発明を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義しています。この定義を満たし、特許として認められるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

以下では、特許を取得できる発明の具体例をまとめました。

上記の発明は、以下の重要な要件を満たすことで特許として登録される可能性があります。

参照:知的財産権制度の概要|特許庁

   【特許制度の概要】発明と特許|特許庁

特許を取得できない発明

特許法の定める「発明」に該当しなかったり、公益に反したりするものは特許を取得できません。自分のアイデアが特許の対象になるかを見極めるために、どのようなものが対象外となるのかを理解しておくことも重要です。

特許を取得できない可能性が高い発明は、以下のとおりです。

特許を取得するメリット|なぜ申請が必要なのか

特許を取得するには時間も費用もかかりますが、以下のようなメリットが期待できます。

  • 独占権で競争優位性を得られる

  • 自社の技術力を証明できる

  • ライセンス収入を得られる

  • 交渉材料として活用できる

本章では、特許を取得することで得られる具体的なメリットを解説します。

参照:知的財産権制度の概要|特許庁

   【特許制度の概要】発明と特許|特許庁

独占権で競争優位性を得られる

特許を取得する最大のメリットは、国が認めた強力な「独占権」を手に入れられることです。特許権は、出願日から原則として最長20年間、他人が許可なくその発明を実施(製造・販売・使用など)することを禁止できる権利です。

これにより、以下のような効果が期待できます。

上記の独占権は、特に新しい市場を切り開く技術や、製品の根幹をなす技術において絶大な力を発揮します。

自社の技術力を証明できる

特許の取得は、その発明が特許庁の厳しい審査をクリアし、新規性や進歩性といった要件を満たしていることの客観的な証明です。加えて、以下のような無形の価値を生み出します。

上記のように、特許は単なる権利証ではなく、自社の技術力と信頼性を社会に示す「勲章」のような役割も果たします。

ライセンス収入を得られる

自社で発明を実施しない場合でも、特許権を他社にライセンス供与(使用許諾)することで、収益を得られます。ライセンス供与は、自社の技術資産を有効活用し、新たな収益源を確保するための重要な戦略です。

なお、代表的なライセンスの種類は以下のとおりです。

優れた発明を特許化すれば、ライセンス収入のような安定的な収益をもたらします。

交渉材料として活用できる

特許権は、他社とのビジネス交渉における強力なカードです。特に、複数の企業がさまざまな技術を持ち寄って製品を開発する現代において、特許は戦略的なツールとして機能します。

上記のように、特許は単独で使うだけでなく、他社の権利との関係性の中で戦略的に活用することで、その価値を何倍にも高められます。

特許を取得する際の注意点|取得前に知るべき5つの注意点

特許取得には多くのメリットがありますが、その一方で、事前に理解しておくべき注意点やデメリットも存在します。特許取得におけるデメリットは以下のとおりです。

  • 一定の費用がかかる

  • 権利取得まで時間を要する

  • 技術の情報を公開しなければならない

  • 取得に知識が必要になる

  • 永続的な独占はできない

上記のリスクを正しく理解し、自社の状況と照らし合わせることが、賢明な知財戦略の第一歩です。

一定の費用がかかる

特許を取得し、その権利を維持するためには、決して安くない費用が発生します。費用は大きく分けて、特許庁に支払う「公的費用」と、手続きを専門家に依頼した場合の「代理人費用」の2種類があります。

それぞれの費用の内訳は以下のとおりです。

特に、個人や資金力に乏しい中小企業にとって、上記の費用負担は大きなハードルとなり得ます。特許を取得する際は、事業計画に想定される知財コストをあらかじめ組み込んでおくことが重要です。

権利取得まで時間を要する

アイデアを思いついてから実際に特許権を取得するまでには、かなりの時間がかかります。一般的に、出願から特許査定(権利化の決定)までには、1年以上、長ければ2年以上の期間を要します。

具体的な期間は以下のとおりです。

技術の進化が速い分野では、「権利が成立したころには申請した技術が時代遅れになっている」といったリスクも考えられます。事業のスケジュールと特許取得のタイムラインを照らし合わせ、戦略的に手続きを進めましょう。

技術の情報を公開しなければならない

特許制度は、発明を独占する権利を与える代わりに、技術内容を社会に公開することを原則としています。特許出願を行うと、出願日から1年6カ月が経過した時点で、その内容は「公開特許公報」として誰でも閲覧できる状態になります。

情報公開は義務ですが、以下のようなリスクを伴う点に注意しなければなりません。

技術の性質によっては、特許で公開するよりもノウハウとして秘匿し続ける方が有利な場合もあります。

参照:特許法第六十四条

取得に知識が必要になる

特許出願の書類作成や、特許庁の審査官とのやり取り(中間処理)は、高度な専門知識と経験が要求されます。特に、権利の範囲を定める「特許請求の範囲」の記載は、権利の価値を左右するもっとも重要な部分です。

取得に際しては、以下の取り組みを実施しましょう。

スムーズに権利を取得するためには、弁理士などの専門家のサポートが不可欠となるケースが多いのが実情です。

永続的な独占はできない

特許権は、永久に続く権利ではありません。

権利の存続期間は、原則として出願日から20年で満了します。期間が満了した後は、その技術は社会全体の共有財産(パブリックドメイン)となり、誰でも自由に利用できるようになります。

また、権利を20年間維持するためには、毎年「特許料(年金)」を特許庁に納付し続けなければなりません。この年金は、年数が経過するごとに高額になっていく仕組みです。

事業の採算が合わなくなったなどの理由で年金の支払いを止めると、その時点で特許権は消滅してしまいます。

なお、特許権は以下の事由に該当する場合、存続期間の延長が可能です。

特許法第六十七条の二

前項に規定する存続期間は、特許権の設定の登録が特許出願の日から起算して五年を経過した日又は出願審査の請求があつた日から起算して三年を経過した日のいずれか遅い日(以下「基準日」という。)以後にされたときは、延長登録の出願により延長することができる。

特許法第六十七条の三

前項の規定により延長することができる期間は、基準日から特許権の設定の登録の日までの期間に相当する期間から、次の各号に掲げる期間を合算した期間(これらの期間のうち重複する期間がある場合には、当該重複する期間を合算した期間を除いた期間)に相当する期間を控除した期間(以下「延長可能期間」という。)を超えない範囲内の期間とする。

参照:特許法第六十七条

上記を踏まえ、取得した特許が本当に事業に貢献しているのかを定期的に見直し、権利を維持するかどうかを判断する知財ポートフォリオ管理が重要です。

特許の申請方法|特許を取るための12ステップ

特許申請とは、特許庁に対して決められた手順に沿って手続きを進めることです。本章では、アイデアが生まれてから特許権が発生するまでの道のりを、以下のステップに分けて解説します。

  1. 先行技術を調査する

  2. 特許願を作成する

  3. 特許印紙を貼付する

  4. 特許庁に提出する

  5. 電子化手数料を送付する

  6. 方式審査を受ける

  7. 出願公開が行われる

  8. 出願審査請求を行う

  9. 実体審査が開始される

  10. 特許査定が出される

  11. 特許料を納付する

  12. 年金の支払いを継続する

上記のプロセスは専門的で複雑に感じられるかもしれませんが、全体の流れを把握することで、今自分がどの段階にいるのか、次に何をすべきかが明確になります。

参照:初めてだったらここを読む~特許出願のいろは~|特許庁

先行技術を調査する

特許を取るには、まず先行技術調査から始めることが重要です。発明が完成したら、最初に行うべきもっとも重要なステップが「先行技術調査」です。これは、自分の発明と同じ、あるいは類似した技術がすでに出願・公開されていないかを調べる作業です。

先行技術調査には、以下のメリットが期待できます。

先行技術の調査を実施する際は、特許庁が提供する無料のデータベース「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」などを活用しましょう。

特許願を作成する

先行技術調査で特許取得の可能性があると判断できたら、次に特許願を作成します。これは特許庁に自分の発明を正式に認めてもらうための、もっとも重要な書類群です。

該当する書類は以下のとおりです。

上記の書類作成は、特許制度の根幹に関わるため、非常に専門的な知識が求められます。

参照:特許出願書類の書き方ガイド|特許庁

特許印紙を貼付する

特許出願を行う際には、手数料として出願料を国に納める必要がありますが、収入印紙ではなく「特許印紙」で支払います。

特許印紙は、主要な郵便局や、特許庁内の販売所で購入が可能です。購入した特許印紙を、作成した願書(特許願)の指定された箇所に貼り付けて提出しましょう。

なお、オンラインで出願(電子出願)する場合は、予納口座からの引き落としや銀行振込などで電子的に納付します。

特許庁に提出する

必要な書類がすべて整い、特許印紙を貼付したら、いよいよ特許庁へ提出します。提出方法は、大きく分けて2種類です。

出願が受理されると、その出願に対して出願番号が付与され、出願日が確定します。出願日は後々の権利関係を判断するうえで非常に重要です。

電子化手数料を送付する

書面(紙)で特許出願を行った場合、特許庁はその書類をスキャンして電子データに変換します。この電子化作業にかかる費用として、出願人は「電子化手数料」を納付する必要があります。

この手数料は、出願書類の枚数によって変動し、後日特許庁から送られてくる振込用紙を使って支払うものです。

なお、最初からオンラインで電子出願を行えば、電子化手数料は不要です。そのため、コスト削減の観点からも電子出願が推奨されています。

方式審査を受ける

出願された書類は、まず「方式審査」と呼ばれるチェックを受けます。これは、提出された書類が様式をきちんと守っているか、必要な手数料が納付されているかといった、手続き上の不備がないかを確認するための審査です。

方式審査で問題となるのは、書類の体裁・記載事項の不足・誤字脱字・必要な添付書類の欠如など、形式的な側面です。

発明の内容そのものの新規性や進歩性といった本質的な部分は、方式審査の段階では一切審査されません。あくまで、出願書類が特許庁で受け付けられるための最低限の条件を満たしているかどうかがチェックされます。

もし書類に何らかの不備が見つかった場合は、特許庁から「補正指令」が送られてきます。この補正指令には、具体的に修正すべき点が記載されており、出願人は指定された期間内に必要な修正を行い、特許庁に提出しなければなりません。

この期間内に対応しない場合、出願が却下される可能性もあります。

出願公開が行われる

特許出願された発明の内容は、原則として出願日から1年6カ月が経過すると、特許庁によって自動的に公開されます。これを「出願公開」といい、その内容は「公開特許公報」として発行され、誰でも閲覧できるようになります。

出願公開は、同じような研究開発の重複を防ぎ、公開された技術をヒントに新たな技術開発を促すことで、産業全体の発展に貢献することを目的としたプロセスです。審査の結果、特許にならなかったとしても、出願した事実は公開されます。

出願審査請求を行う

特許申請とは出願だけでなく審査請求も必要な手続きです。特許出願をしただけでは、発明の内容についての本格的な審査(実体審査)は始まりません。審査を開始してもらうためには、出願とは別に「出願審査請求」と呼ばれる手続きを行う必要があります。

出願審査請求は、出願日から3年以内に行わなければなりません。もし期間内に行わないと、その出願は取り下げられたものとみなされ、権利化の道が閉ざされてしまいます。

なお、審査請求には、手数料(審査請求料)がかかります。この制度は、本当に権利化を望む出願だけを審査することで、審査の効率化を図るためのものです。

実体審査が開始される

出願審査請求後、特許庁審査官による「実体審査」が開始されます。実体審査は、発明の内容が特許要件(産業上の利用可能性・新規性・進歩性など)を満たすかを詳細に調べる審査です。

審査官は、先行技術調査で発見された文献と比較し、発明が既存技術と比較して新規性・進歩性を有するかを判断します。進歩性の判断では、当業者が容易に発明できているかも考慮されるので留意しましょう。

審査の結果、特許要件を満たしていると判断されれば特許査定が出され、特許料を納付することで特許権が発生します。

一方、特許要件を満たしていないと判断された場合は拒絶理由通知が送付されます。ただし、拒絶理由通知が送付されても、特許取得の可能性がなくなったわけではありません。

拒絶されても、出願人は意見書や補正書を提出して反論する機会が与えられます。

特許査定が出される

審査の結果、審査官が「この発明は特許の要件をすべて満たしている」と判断した場合、「特許査定」と呼ばれる通知が出願人に送られます。これは、特許権を与えることを認めることを記載した、特許庁からの正式な決定通知です。

この通知を受け取ったら、権利取得まであと一歩です。

特許料を納付する

特許査定の通知を受け取ったら、指定された期間内(通常は30日以内)に「特許料(登録料)」を納付します。まずは、第1年から第3年分をまとめて支払う必要があります。

特許料が納付されると、発明の内容が特許原簿に登録され、正式に「特許権」が発生します。

年金の支払いを継続する

一度特許権が発生しても、それで終わりではありません。その権利を維持するためには、4年目以降も毎年、特許料(年金)を支払い続ける必要があります。

もし、年金の支払いを怠ると、特許権はその時点で消滅してしまいます。年金の額は、権利の維持年数が長くなるにつれて高額になっていくため、その特許が事業にとって本当に必要か、定期的に見直すことが重要です。

オンライン特許申請方法|電子出願の手順

近年、特許出願の主流となっているのが、インターネットを利用した「電子出願」です。電子出願は、書面での出願に比べて、「手数料が安くなる」「24時間365日いつでも手続きが可能」「特許庁への書類到着が速やかで確実」といった多くのメリットがあります。

企業の特許を電子出願するには、まず特許庁の「電子出願ソフトサポートサイト」で申請人利用登録を行い、識別番号を取得します。

次に、特許庁提供の電子出願ソフトをインストールし、出願書類を作成しましょう。ソフトの様式に従い、明細書や図面を組み込み、出願データを作成したら、ソフトの送信機能で特許庁へオンライン提出します。

手数料は、口座振替・クレジットカード納付・インターネットバンキングなどの方法でも納付が可能です。

拒絶査定された際の対応

実体審査の結果、残念ながら発明が特許の要件を満たしていないと判断されることもあります。しかし、拒絶された場合でも、権利化を目指すためのいくつかの手段が残されているので、すぐにあきらめないようにしましょう。

本章では、拒絶査定された際の特許庁の通知内容に加え、企業が実施できる対応について解説します。

拒絶理由通知を受け取る

審査官が特許にできない理由(拒絶理由)を発見した場合、いきなり拒絶査定を下すのではなく、まずは「拒絶理由通知」を送付してくれます。これは、出願人に対して反論の機会を与えるためのものです。

通知には、どの先行技術文献に基づいて新規性や進歩性が否定されるのか、具体的な理由が記載されています。

この通知を受け取ったら、指定された期間内(通常60日以内)に、以下の対応を実施できます。

この段階での的確な対応が、特許取得の可否を分ける重要なポイントです。

参照:特許の拒絶理由通知書を受け取った方へ|特許庁

必要であれば不服審判に進む

意見書や補正書を提出しても拒絶理由が解消されないと判断された場合、審査官は最終的に「拒絶査定」を下します。審査官の判断に不服がある場合、出願人はさらに上級の判断を求められます。

この一連の流れが「拒絶査定不服審判」です。

拒絶査定不服審判は、3名または5名の審判官からなる合議体が、審査官の判断が妥当であったかをあらためて審理する手続きです。審判を請求する際には、なぜ審査官の判断が誤っているのかを主張するとともに、必要であれば手続補正書を再度提出できます。

審判の結果、主張が認められれば、拒絶査定が覆され、特許査定が下されることになります。

参照:拒絶査定不服審判|特許庁

特許取得の費用

特許を取得し、維持するためにはさまざまな段階で費用が発生します。特許取得の費用の総額は、手続きを自社で行うか、専門家である弁理士に依頼するかによって大きく異なります。

以下では、具体的な費用の内訳と、それぞれのケースでの総額の目安について詳しく見ていきましょう。

【費用総額の比較】

上記のように、弁理士に依頼すると費用は高くなりますが、専門的な知識で質の高い権利を取得できる可能性が高まります。

一方で、自分で行う場合は費用を大幅に抑えられますが、手続きの複雑さ・時間的な負担・権利の質が担保されないリスクを負うことになります。

自身の状況に合わせて、最適な方法を選択することが重要です。

参照:産業財産権関係料金一覧|特許庁

特許取得の費用を抑える方法

特許取得にかかる費用は決して安価ではありませんが、国や関連機関が設けているさまざまな支援制度などを活用することで、その負担を大幅に軽減することが可能です。本章では、費用を抑えるための以下の方法を紹介します。

  • 減免制度

  • 補助金・助成金

  • 日本弁理士会の援助制度

  • 電子出願による割引

特に、個人発明家・中小企業・スタートアップにとっては、上記の制度を賢く利用することが、イノベーションを実現するための鍵です。

減免制度

特許庁では、資力の乏しい個人や、特定の条件を満たす中小企業などを対象に、審査請求料や特許料(第1年~第10年分)を軽減する「減免制度」を設けています。要件を満たせば、これらの費用が2分の1または3分の1にまで軽減されます。

減免制度の軽減率や要件は以下のとおりです。

以前は申請書の提出が必要でしたが、2019年4月以降は手続きが簡素化され、願書や請求書に減免を受けたい旨を記載するだけで適用されるようになりました。自分が対象となるか、特許庁のウェブサイトで最新の情報を確認してみましょう。

参照:特許料等の減免制度|特許庁

補助金・助成金

国や地方自治体、各種公的機関では、中小企業の知的財産活動を支援するために、さまざまな補助金や助成金制度を用意しています。これらは、特許出願にかかる費用の一部を補助してくれるもので、返済不要の資金として活用が可能です。

例えば、中小企業庁が実施している「ものづくり補助金」は、知的財産権等関連経費として、特許の取得費用が補助対象に含まれています。ものづくり補助金の詳細は以下のとおりです。

参照:中小企業庁担当者に聞く「ものづくり補助金(令和6年度補正)」|ミラサポplus

上記のとおり、ものづくり補助金は特許の申請だけでなく、さまざまな用途で役立つ補助金です。

もちろん、ものづくり補助金以外にも特許の取得に役立つ補助金・助成金制度は存在します。自社の所在地や事業内容に合った制度がないか、「J-Net21」などの支援情報サイトで検索してみましょう。

日本弁理士会の援助制度

資金的に余裕がなく、専門家である弁理士への依頼をためらっている個人や中小企業のために、日本弁理士会が「特許出願等援助制度」を設けています。この制度は、審査を通過した案件について、出願手続きの費用の一部を日本弁理士会が引き受けてくれるものです。

これにより、専門家の力を借りながら、費用負担を抑えて質の高い特許出願を行えます。ただし、援助を受けるためには、日本弁理士会が提示する要件を満たす必要があるので注意しましょう。

参照:特許出願等援助制度|日本弁理士会

電子出願による割引

前述の通り、特許出願は書面(紙)で行う方法と、インターネットを利用したオンライン(電子)で行う方法があります。国は電子化を推進しており、電子出願を利用すると手数料が割引になります。

郵送出願・電子出願の料金の違いは以下のとおりです。

電子出願を行うためには初期設定が必要ですが、長期的に見ればコストメリットがあります。これから出願を考えるのであれば、積極的に電子出願の利用を検討すべきです。

特許を取得する際のポイント

特許取得を達成するためには、単に手続きの流れを知っているだけでは不十分です。本章では、発明を価値ある権利へと昇華させるうえで役立つ、以下のポイントを解説します。

  • 発明の新規性や進歩性を必ず確認する

  • 出願するタイミングに注意する

  • 書類準備は入念に行う

  • 権利範囲は事業戦略に合わせる

  • 専門家と連携する

上記のポイントを踏まえたうえで戦略的な視点を持ち、各段階で適切な判断を下していくことが、成功の確率を大きく左右します。

発明の新規性や進歩性を必ず確認する

出願手続きを進める前に、もっとも時間をかけて丁寧に行うべきプロセスが「先行技術調査」です。この調査を怠ると、後になって同じような技術がすでに見つかり、時間と費用が無駄になってしまう可能性があります。

先行技術調査を実施する際は、以下のポイントに注意しましょう。

上記の内、特に新規性・進歩性の確認は非常に重要です。これらは特許の定義に該当する重要な要件であり、それぞれを満たしていない審査を通過する可能性が低下します。

出願するタイミングに注意する

日本の特許制度は「先願主義」を採用しており、同じ発明については、一日でも早く出願した申請者に権利が与えられます。そのため、発明が完成したら、できるだけ速やかに出願することが原則です。

しかし、急ぐあまり、発明の内容が不十分なまま出願してしまうと、権利範囲が狭くなったり、最悪の場合は権利化できなかったりするリスクもあります。

出願するタイミングについては、以下のポイントを意識しましょう。

特許を出願する予定の発明は、必ず非公開のままにしておきましょう。先に公開してしまうと、新規性を失う恐れがあります。

また、特許を取得する際、発明の内容は実施できるレベルの具体性が求められます。しかし、完成度を高める作業に時間をかけすぎると、ほかの企業に先を越される可能性があるので注意が必要です。

書類準備は入念に行う

出願書類、特に「明細書」と「特許請求の範囲」の完成度が、特許の価値を左右します。これらの書類は、一度提出すると、後から内容を大幅に変更すること(新規事項の追加など)は認められません。

そのため、出願前に以下のような準備をしておきましょう。

書類の完成度を高めるには、弁理士などの専門家にチェックしてもらう方法が効果的です。

権利範囲は事業戦略に合わせる

「特許請求の範囲」に記載する内容は、広すぎても狭すぎてもいけません。自社の事業戦略と密接に連携させ、最適な権利範囲を設定することが求められます。

権利範囲の設定に失敗すると、以下のリスクが発生します。

上記のリスクを踏まえたうえで将来の事業展開を見据え、どこまでを自社の独占領域とし、どこからを他社に開放するのか、戦略的な判断が必要です。

専門家と連携する

特許取得のプロセスは非常に専門的であり、個人ですべてを完璧に行うのは困難です。経験豊富な専門家のサポートを受ければ、申請のプロセスをスムーズに完了できるうえに、特許を取得できる可能性を高められます。

特に、以下のサポートは重要です。

費用はかかりますが、弁理士のような知的財産の専門家と連携することで、成功の確率を格段に高められます。

特に、グローバルな事業展開を視野に入れる場合、世界各国にネットワークを持つ知財サービス企業のサポートは不可欠です。あらかじめ最適な専門家を見つけておきましょう。

まとめ:特許を取るには正しい申請方法やポイントを知る必要がある

特許の取得は、企業の発明をビジネスに最大限活用するうえで欠かせない取り組みです。しかし、特許の定義・特許にする範囲を理解するだけでなく、申請手順や費用などを把握しておかなければ、取得は見込めません。

特許の取得はプロセスをステップごとに分解し、要点を押さえれば、スムーズに進められます。また、先行技術調査のような作業を徹底することも重要です。

自社だけで特許の取得が難しい場合は、弁理士などのような専門家のサポートも受けましょう。専門家のアドバイスを得ることで、申請を円滑に進められるだけでなく、特許を取得できる可能性を高められます。

30 7月 20205 minutesIP outsourcingPatents
特許を取るには|申請方法・費用・流れなどを解説 | Dennemeyer