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知的財産関連ブログ / 知的財産権とは?身近な例や侵害事例などについて解説

知的財産権とは?身近な例や侵害事例などについて解説

知的財産権は、企業の競争力を左右する重要な資産です。

特許・商標・著作権など、知的財産権にはさまざまな種類があり、 適切に保護・活用することで、ビジネスの成長を大きく加速させられます。

本記事では、知的財産権の基礎知識だけでなく、取得・活用戦略や侵害対策など、企業が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

知的財産権を戦略的に活用し、企業の価値向上につなげましょう。

知的財産権とは

そもそも知的財産権とは一体何なのでしょうか。まずは、制定された目的・身近な例・ビジネスとの関わりについて見ていきましょう。

知的財産権の目的

知的財産権とは、 人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物を保護するための権利です。

小説・音楽・発明・デザイン・商標など、形を持たない無形の財産を守るための法律上の仕組みとも捉えられます。

知的財産権によって、創作者や発明者は自身の創作活動の成果を独占的に利用でき、模倣品や不正競争から保護されます。

これにより、安心して創造的な活動に専念できる環境が整うだけでなく、自社のアイデアの保持が可能です。

知的財産権制度は、創作者の権利を保護するだけでなく、社会全体の文化や産業の発展にも貢献するものです。

知的財産権は、 創造性とイノベーションを促進し、社会全体に利益をもたらす重要な役割を担っています。

参照: 知的財産権について|特許庁

知的財産権の身近な例

知的財産権は、 私たちの生活のいたるところに存在しています。

具体的にどのようなものが当てはまるのか、以下の表で確認してみましょう。

分野 具体例 関連する主な権利
エンターテイメント 人気アニメのキャラクター・ヒット曲の歌詞やメロディ 著作権
テクノロジー スマートフォンのタッチパネル技術・アプリケーションの仕組み 特許権・実用新案権
ファッション・デザイン 有名ブランドのバッグのデザイン・企業のロゴマーク 意匠権・商標権
食品 特定の地域で作られたブランド野菜・飲料のレシピ 地理的表示・営業秘密
ソフトウェア パソコンのOS・ゲームソフトのプログラム 著作権・特許権

上記のように、普段何気なく触れている多くのものに知的財産権が関わっています。

ビジネスにおける知的財産権

ビジネスにおいて、知的財産権は企業の競争力を大きく左右する、極めて重要な要素です。

独自の技術やアイデアを特許として保護することで、 他社による模倣を阻止し、市場における優位性を確立できます。

加えて、長期的な収益の確保にもつながり、企業の成長を力強く後押しするといえるでしょう。

さらに、顧客に強い印象を与える魅力的なブランドロゴやネーミングを商標として登録すれば、商品やサービスの識別性を高め、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。

例えば、商標はブランドイメージの維持・向上に不可欠であり、企業の資産価値を高める役割も担うものです。

知的財産権を戦略的に活用することは、 単なる権利保護にとどまらず、企業の成長戦略の中核をなす取り組みです。

積極的に知的財産権を取得・管理し、活用していくことが、競争の激しいビジネス環境において勝ち残るための鍵となります。

知的財産権の種類

知的財産権は、保護する対象によって以下の3種類に分けられます。

  • 著作権
  • 産業財産権
  • その他の権利

種類によっては、複数の権利を内包していることがあるので、あらかじめ理解しておきましょう。本章では、特に重要で身近な著作権・産業財産権・その他の権利について解説します。

著作権

著作権は、 思想や感情を創作的に表現した「著作物」を保護する権利であり 、特許庁への申請などの手続きは必要ありません。

小説・音楽・絵画・映画・コンピュータプログラムなどが対象となり、作品が創作された時点で自動的に権利が発生します。

著作権は他人が無断で作品をコピーしたり、インターネットで公開したりすることを防ぐための権利です。

また、創作活動を促進し、文化の発展に貢献することを目的として制定されました。

著作者は自身の作品を自由に利用・管理でき、権利は一定期間保護されます。

著作権侵害が発生した際は、法的措置を取れます。

産業財産権

産業財産権は、主に産業や経済の発展を目的とする権利の総称であり、 「特許権」「実用新案権」「意匠権」「商標権」の4つが含まれます。

著作権とは異なり、権利を得るためには特許庁への出願と登録が必要です。

産業財産権に含まれる権利の詳細は以下のとおりです。

権利の種類 保護するもの 具体例 権利の期間(原則)
特許権 高度な「発明」 新しい医薬品の製造方法・通信技術 出願から20年
実用新案権 ちょっとした「考案」 消しやすい消しゴムの形状・便利な文房具 出願から10年
意匠権 製品の「デザイン」 スマートフォンの外観・椅子の形状 出願から25年
商標権 商品やサービスの「マーク」 企業のロゴ・商品名 登録から10年(更新可能)

一つの製品に、上記の権利が複数関わっていることも珍しくありません。

例えばスマートフォンには、通信技術の特許権・本体デザインの意匠権・メーカーロゴの商標権などが含まれています。

その他の権利

上記以外にも、 特定の分野で重要な役割を果たす知的財産権があります。

代表的なものは以下のとおりです。

知的財産権 説明
育成者権 新しく開発された植物の品種を保護する権利です。品種改良者の努力の結晶を守り、新品種の開発を促進します。
地理的表示 「夕張メロン」や「神戸ビーフ」のように、特定の産地の品質を保証する表示を守ります。地域ブランドの価値を保護し、消費者の信頼を守ります。
営業秘密 飲食物のレシピのように、企業が秘密にしている有益な情報を保護します。企業の競争力の源泉となる情報を守り、不正競争を防止するうえで重要です。これらの知的財産権は、技術革新や地域経済の活性化、企業の競争力強化に不可欠な役割を果たしています。

上記の権利も重要な知的財産権であり、アイデアやビジネスの機密を守るうえで欠かせません。

知的財産権と肖像権との違い

知的財産権とよく混淆される権利に「肖像権」があります。

しかし、 肖像権は保護する対象や権利の性質がまったく異なります。

それぞれの違いを下の表で確認してみましょう。

項目 知的財産権 肖像権
保護対象 人の創作物(アイデア・デザインなど) 個人の顔や姿そのもの
権利の根拠 法律(特許法・著作権法など) 憲法で保証される人格権
発生要件 創作(著作権)または登録(産業財産権) 生まれながらに誰もが持つ
権利を持つ人 創作者・発明者・企業など 本人

例えば、アイドルを撮影した場合、写真の「著作権」は撮影者が持ちますが、写真に写っているアイドル自身は「肖像権」を持っています。

そのため、写真を無断で公開したり販売したりすると、著作権と肖像権の両方を侵害する可能性があります。

知的財産権を取得するメリット

知的財産権を取得し、適切に管理・活用することには多くのメリットがあります。

代表的なメリットは以下のとおりです。

  • 自社のアイデアや技術を保護できる
  • ブランド構築によって販売力を向上できる
  • 事業展開で優位になれる
  • 技術開発力を強化できる

特にビジネスにおいて、知的財産権は企業の成長を大きく後押しする力となります。

自社のアイデアや技術を保護できる

知的財産権の最大のメリットは、自社が生み出したアイデアや技術を法的に保護できる点です。

特許権や意匠権などを取得することで、 他社による模倣や無断利用を防ぎ、独占的に事業を展開できます。

これにより、安心して研究開発に投資し、競争力の維持が可能です。

ブランド構築によって販売力を向上できる

知的財産権はブランド構築にも役立つ要素です。

例えば、商標権は企業のブランドイメージを守り、育てるうえで欠かせません。

特徴的なロゴやネーミングを商標登録することで、顧客はそのマークを目印に安心して商品やサービスを選べます。

これが信頼につながり、 結果として販売力の向上に貢献します。

つまり、知的財産権は顧客からの認知や信頼を守るうえで重要な要素です。

事業展開で優位になれる

知的財産権を適切に活用すれば、事業展開で優位になる可能性が高まります。

保護された知的財産権は、他社との差別化を図る強力な武器です。

自社の技術を他社に使わせるライセンス契約を結び、 ライセンス料のような新たな収益源を生み出せます。

また、M&Aや業務提携の交渉においても、価値ある知的財産を持つことは有利な条件を引き出す材料になります。

技術開発力を強化できる

技術開発力の強化において、知的財産権は重要です。

自社の技術が権利として守られている安心感は、さらなる技術開発への意欲をかき立てます。

また、他社が持つ特許情報を分析することは、 世の中の技術トレンドを把握し、新たな研究開発の方向性を定めるうえでも不可欠です。

このように、知的財産権は技術革新のサイクルを促進する役割も担っています。

知的財産権を活用する際の注意点

知的財産権は強力な武器になる一方で、以下のような注意点も存在します。

  • 十分な社内教育が必要
  • 権利取得にコストが発生する

リスクを理解し、適切に対応することが重要です。

十分な社内教育が必要

十分な社内教育は、従業員が知的財産権に関する正しい知識を持つうえで不可欠です。

例えば、他者のブログの文章や画像を無断で自社のSNSに投稿することは著作権侵害にあたる可能性があります。

また、自社の重要な技術情報を不用意に外部に漏洩する行為は、営業秘密の侵害につながる危険性が高いものです。

これらのようなリスクを回避するため、 定期的な研修などを実施し、知的財産権に関する意識を社内全体で高める取り組みを行いましょう。

研修では、著作権・営業秘密・商標権などの基礎知識に加え、具体的な事例を交えて解説することで、従業員の理解を深めましょう。

さらに、知的財産権に関する相談窓口を設置することで、従業員が疑問や不安を気軽に相談できる環境を整備することも有効です。

権利取得にコストがかかりやすい

著作権と異なり、特許権や商標権などの産業財産権を取得・維持するためには費用がかかります。

権利を取得する際の主な費用は以下のとおりです。

費用の種類 概要 目安金額
出願料 特許庁に出願する際に支払う費用 "14,000円(特許)"
審査請求料 特許審査を請求するための費用 "138,000円 +(請求項数 × 4,000円)"
特許料(年金) 権利を維持するために毎年支払う費用 "1年目〜3年目:4,300円 +(請求項数 × 300円)"
弁理士費用 手続きを専門家に依頼する場合の費用 数十万円〜

例えば、出願時には印紙代が、登録後も権利を維持するための年金(特許料)や更新登録料の支払いが必要です。

そのため、企業はコストを考慮し、 どの技術やブランドを権利化するか、戦略的に判断することが求められます。

知的財産権の侵害となる事例と罰則

もし知的財産権を侵害してしまった場合、厳しい罰則が科されることがあります。

昨今はインターネットの普及により、 個人でも意図せず権利侵害の当事者になりやすくなっているため注意が必要です。

以下に、日常生活で起こりうる侵害事例を挙げます。

  • アニメや漫画のキャラクターの画像を無断でコピーし、SNSのアイコンに使用する。
  • 市販のCDの音楽を無断で動画のBGMとして使用し、動画共有サイトにアップロードする。
  • 有料で販売されているソフトウェアを違法にコピーして使用する。
  • 有名ブランドのロゴに似たデザインのグッズを自作して販売する。

上記の行為は権利侵害にあたり、権利者から警告を受けたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。

悪質な場合には、刑事罰の対象となるので注意しましょう。

なお、知的財産権を個人が侵害した際の罰則は以下のとおりです。

罰則の例(個人)
直接侵害 "10年以下の懲役 または 1,000万円以下の罰金(またはその両方)"
間接侵害 5年以下の懲役 または 500万円以下の罰金(またはその両方)

軽い気持ちで行った行為が、深刻な結果を招く可能性があることを理解しておくことが重要です。

法人の場合、上記より重い罰が科せられるケースがあるので注意しましょう。

まとめ:知的財産権はビジネスにおいて重要

知的財産権は、新しいものを生み出す人々の努力を守り、文化や生活を豊かにし、未来のイノベーションを支えるための重要な社会ルールです。

ビジネスにおいては、 自社の技術やブランドを保護し、競争力を高める不可欠な経営資源となるものです。

知的財産権への理解を深め、創作活動やビジネスに積極的に活用することで、さらなる発展が期待できます。

本記事を参考に、知的財産権をビジネスや会社経営に役立ててください。

なお、知的財産権を適切に運用するには、正確な知財管理が不可欠です。

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知財管理がもたらす収益の最大化にもつながるので、ぜひチェックしてみてください。

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